

軽量構造材料の切り札、CFRPはこれまでリサイクルが難しいとされてきましたが、独自開発の精密乾留方式は、循環した熱風の連続対流により解離した樹脂は可燃性ガスとなり自らが燃料となり熱源となるので、そのLCA値はとても小さくなり、 炭素繊維は長繊維のまま残すことができます。地球環境に優しい、循環型炭素繊維織物になります。
デザインのポイント
1.KOBATRON炭素繊維は、新品の炭素繊維に比べ、1/10のLCA値が環境省に報告され、鉄鋼と同等
2.植物由来樹脂等と組合わせることにより、金属素形材と代替できるレベルのLCA値のCFRTPを構成できる
3.樹脂が炭化したアモルファスカーボンの量をコントロールでき、炭素繊維の艶、織物の固さを調整が可能
富士デザイン株式会社
杉野守彦
富士デザイン株式会社
田村未紀
株式会社 日本複合材
柳原淳一
富士デザイン株式会社
杉野守彦
富士デザイン株式会社
田村未紀
株式会社 日本複合材
柳原淳一
背景

CFRPを用いた航空機においては使用範囲が50%以上に拡大し軽量化が加速し、燃費向上によって、CO2発生量の低減に寄与しているが、同時に製造時の端材のリサイクルが問題になっていた。日本では、世界に先駆け水素エネルギーを用いる燃料電池車にCFRP製高圧タンクが採用されCO2ガス発生ゼロの代表例として期待を集めている。今後B787の退役機から発生するCFRP部材の解体処理に加え、乗用車も廃車時のリサイクル問題に直面している。この問題を解決するために、日本国内のみならず、世界的にCFRPリサイクルの技術開発が行われ、一部は実用化されたが、そのリサイクルされた製品(カーボンファイバー)の姿は、新品の状態に比べ、その品質は大幅に劣るモノが多く、せいぜい不織布やチョップドファイバー、ミルド状の商品にはなったが、炭素繊維の引張強度を活かす長繊維の抽出はこれまでその例が無かった。
経緯とその成果
富士デザインが独自に考案した精密乾留装置を使ったCFRPリサイクルは、CFRPに精密に温度調節された熱風をあて、循環させることで、CFRPのP(プラスチック部分)が、可燃性ガスになり循環し、それが熱風となり樹脂をそぎ落としていく形態でCFRPからPを解離させる方式なので、CFRPの基材であるカーボンファイバーに対するダメージが極端に少なく炭素繊維を抽出することができる技術です。これは、日本国内で独自に開発された、世界に誇る技術です。 COVID19は、航空機産業に多大なダメージを与えたのは御承知の通りですが、日本の航空機製造産業では、量産を予定していたB787の製造が突如キャンセルとなり、準備していたプリプレグ(炭素繊維にエポキシ樹脂を含浸させた中間材料)が大量に廃棄処分になりました。その廃棄プリプレグから樹脂を除去し、炭素繊維部分だけを取り出したのが「KOBATRON 炭素繊維織物」です。

仕様
新しいCFRPのリサイクル技術の量産化による長繊維連続炭素繊維。航空機用途・廃プリプレグ(樹脂が経年劣化して使用することができなくなったCFRPの中間材料)から、精密乾留法により抽出した炭素繊維織物。 1mあるいは1.5m幅。厚み0.23~0.25㎜ 3K(炭素繊維3000本のトウを織った)平織クロス 製造時CO2排出量は、新品の炭素繊維織物の10分の1(2.3ton-CO2/ton)

